チョッパーのシルエットを決める部品のひとつが、リアフェンダーから上方へ伸びるシッシーバーです。荷物やタンデムパッドを支える実用品であると同時に、後ろ姿を強く印象づけるカスタムパーツでもあります。
CPR MOTORの1970 SHOVELHEADと1979年式 SHOVELHEADには、いずれもJay’s motorcyclesがハンドメイドで製作した銃剣シッシーバーが装着されています。同じ銃剣シッシーバーでも、車体構成や外装の違いによって見え方は大きく異なります。
シッシーバーの歴史と役割
シッシーバーは、もともとタンデム乗車時の背もたれや荷物の固定を目的とした部品です。1960〜1970年代のアメリカンチョッパー文化では、実用部品としての役割を残しながら、車体の個性を表現する装飾的なパーツへと発展しました。
短くまとめたものから、車体後方へ大きく伸びるロングタイプまで形状はさまざまです。ねじり加工や鋭い先端、独自のモチーフを取り入れたデザインも登場し、ハンドルやタンクと同じようにビルダーの考え方が表れる部分となりました。
銃剣シッシーバーとは
銃剣シッシーバーは、軍用銃剣そのもの、または銃剣を連想させる形状を取り入れたシッシーバーです。
細く長い形状と鋭い先端が、リジッドフレームの直線的な輪郭によく似合います。使い込まれた金属の風合いや錆、溶接跡が残っている場合、それらも車両全体の雰囲気を構成する要素になります。
ただし、古い実物の銃剣などを利用した製品では、形状や取り付け方法によって安全性が異なります。固定状態や先端の処理、フェンダーやフレームへの負担を確認することが大切です。
CHEAT’AH(チーター)などの希少なシッシーバー
ビンテージチョッパーの世界では、CHEAT’AH、Cheatah、Cheetahなどの表記で呼ばれる当時物のアフターマーケットパーツが知られています。シッシーバーの歴史を紹介する資料では、AEEと並び、当時シッシーバーを展開していたブランドとしてCHEETAHの名称が紹介されています。
なかでも鳥をモチーフとした「War Bird」系の造形など、彫刻的で存在感のあるデザインは、現在でもビンテージチョッパー愛好家の間で注目されています。「AEE Cheatah War Bird」の名称で流通している個体もありますが、当時物、後年製作品、リプロダクトでは評価が異なります。
希少性を判断する際は、名称や形だけで決めるのではなく、刻印、溶接方法、表面処理、メッキの状態、取り付け部分の構造、入手経路などを総合的に確認する必要があります。
CPR MOTORの1970年式・1979年式 SHOVELHEADに装着されているのは、Jay’s motorcyclesが一台ごとの車体構成に合わせてハンドメイドした銃剣シッシーバーです。既製品をそのまま取り付けたものではなく、車体の幅やリアフェンダーの形状、全体のシルエットを考慮して製作されています。
銃剣シッシーバーを装着するメリット
最も大きな魅力は、後方から見た車体のシルエットが明確になることです。特にリジッドフレームはリア周辺が低く簡潔にまとまるため、縦方向へ伸びるシッシーバーが強いアクセントになります。
ティーパッドを取り付ければ、タンデム時の背もたれとしても使用できます。また、取り付け強度や荷重条件を確認したうえで、荷物を固定する支点として活用できる場合もあります。
一方で、高さのあるシッシーバーは重量や振動の影響を受けやすく、取り付け部に負担がかかります。定期的にボルトの緩み、溶接部分の亀裂、フェンダーとの干渉などを確認することが必要です。
1970年式・1979年式 SHOVELHEADと銃剣シッシーバー
1970 SHOVELHEADは、1200ccのショベルヘッドエンジンをV-TWIN製レプリカウィッシュボーン・リジッドフレームに搭載したフリスコスタイルのチョッパーです。
21インチのフロントと19インチのリア、33.4mm・8インチオーバーのフロントフォークにより、細く伸びやかなシルエットに仕上がっています。やれた外装や金属の質感を活かした車体に、Jay’s motorcycles製の銃剣シッシーバーが加わることで、古いチョッパーらしい荒々しさと手仕事の雰囲気が強調されています。
1979年式 SHOVELHEADは、1340ccのショベルヘッドエンジンをV-TWIN製レプリカストレートフレームに搭載したリジッドチョッパーです。
フロント19インチ、リア18インチ、33.4mm・6インチオーバーのフロントフォークという構成で、1970年モデルよりも前後のまとまりを感じさせるプロポーションになっています。リブフェンダーや加工されたサンダーヘッダーなど、各部の存在感も強く、Jay’s motorcycles製の銃剣シッシーバーが車体後方の輪郭を引き締めています。
1970年モデルが細く伸びやかな印象であるのに対し、1979年モデルはエンジンや外装のボリュームを含め、より重厚な見え方を持っています。同じビルダーがハンドメイドした銃剣シッシーバーでも、車体との組み合わせによって異なる表情が生まれています。
まとめ
銃剣シッシーバーは、単なる装飾ではなく、チョッパーの後ろ姿と時代感を決める重要な部品です。
CHEAT’AHなどの希少なビンテージシッシーバーには歴史的な魅力があります。さらに、ビルダーが車体に合わせて製作するハンドメイド品には、既製品とは異なる造形や車体との一体感があります。
1970 SHOVELHEADと1979年式 SHOVELHEADは、どちらもJay’s motorcyclesがハンドメイドした銃剣シッシーバーを採用しながら、それぞれ異なる車体構成によって違ったシルエットを見せています。実車を前後左右から眺めることで、シッシーバーの造形と車体全体のバランスをより具体的に確認できます。